ヒューマンエラー・概論 -2『原因論』」 フリーWebカレッジ


フリーWebカレッジ 組織運営学科 コース000003 ネット研修 担当講師:蒔苗昌彦 eラーニング 通信教育   


●セクション1「ヒューマンエラー 原因論コース開講の趣旨」

当コースは、コース000002「ヒューマンエラー・概念論」を前提とした、それに続くシリーズである。

コース000002にて、組織運営からの観点を前提として、ヒューマンエラーの定義を明確にした。※1 そこで、次は、ヒューマンエラー原因について考察する。

前コースでも述べたように、ヒューマンエラー原因は、ケースを特定しない限り明らかにできない。が、ケースを特定すると、「概論」に留めることによりどの業種においても参考になるように、との趣旨が損なわれる。

したがって、当コースにおける「原因についての考察」も、概論としての考察に留める。ケースを特定しての具体的な考察は、次期開講予定のケーススタディにて行う。また、引き続き、組織運営の観点から行い、認知心理学、行動科学、安全工学等々の観点は持たない。

では、以下、前半を「事故・災害の原因としてのヒューマンエラー」※2、中盤を「準ヒューマンエラーの原因」、後半を「ヒューマンエラーの原因」に割り当て、記述する。

なお、繰り返しますが、当コースはコース000002が前提となるので、以下を読む前に、必ずコース000002の受講を済ませておいて下さい

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コース000001小説式eラーニング「ヒューマンエラー」

コース000002論文式eラーニング「ヒューマンエラー・概念論」

《目次》サイトマップ

セクション1「ヒューマンエラー原因論』コース開講の趣旨」
セクション2「事故・災害の原因としてのヒューマンエラー
  2-1「事故・災害 原因の二大分類『ヒューマンファクター
『非ヒューマンファクター』」
  2-2「ヒューマンファクターの分類と発生頻度」
  2-3「『準ヒューマンエラー』を原因扱いする際のポイント」
  2-4「『ヒューマンエラー』を原因扱いする際のポイント」
セクション3「準ヒューマンエラーの原因」
  3-1「準ヒューマンエラーの原因と原因究明時のポイント」
  3-2「組織/業務の理念の不備がないか、確認する」
  3-3「組織/業務の方針の不備がないか、確認する」
  3-4「組織運営/業務運営の仕組みに不備がないか、確認する」
  3-5「健康管理体制に不備がないか、確認する」
  3-6「人事制度に不備がないか、確認する」
  3-7「教育に不備がないか、確認する」
  3-8「過酷な作業環境を放置したままになっていないか、確認する」
  3-9「職場の人間関係が非良好な状態になっていないか、確認する」
  3-10「多数原因の可能性も忘れないこと」
セクション4「ヒューマンエラー原因
  4-1「ヒューマンエラーに的が絞られた段階の状況とは」
  4-2「それでも発生の可能性があるヒューマンエラー
  4-3「可能性ゼロ達成ができなくても原因究明をやめてはならない」
  4-4「ヒューマンエラー原因の共通性とは?」
  4-5「ヒューマンエラーの定義の復習」
  4-6「ヒューマンエラー原因の共通性の仮定」
  4-7「ヒューマンエラーの原因究明時のポイント」
セクション5「ヒューマンエラー 原因論のまとめ」

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※1:
「危ないと分かっていながらも、つい犯してしまう過ち、うっかり犯してしまう過ち」がコース000002での定義であるが、この定義文に関する付帯解説も含め、極めて明確にしたので、当コース受講前に、必ず000002「概念論」を受講して下さい。
※2:
「事故・災害の原因としてのヒューマンエラー」においては、ヒューマンエラーを因とし、事故・災害を果として、両者の関係を見てみる。

●制作・著作:蒔苗昌彦(担当講師)

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 セクション2「事故・災害の原因としてのヒューマンエラー

2-1「事故・災害 原因の二大分類『ヒューマンファクター』『非ヒューマンファクター』」

ヒューマンエラー原因論」のタイトルのもと考察をする場合、本来ならば、ヒューマンエラー原因(つまりヒューマンエラーが発生する原因)についてだけ考察すべきなのだろう。が、当コースでは、「事故・災害の原因としてのヒューマンエラー」についての考察も行うこととする。

まず、事故・災害の原因を、ヒューマンエラー以外の要素も併せて全体観で考えてみよう。

いかなる事故・災害であっても、それを発生させる原因が何かしらある。当コースでは、原因を、「ヒューマンファクター(人的要因)と「非ヒューマンファクター」に大別する。

「非ヒューマンファクター」とは、「ヒューマンファクターではない要因一切合切のこと」である。当コースは、ヒューマンファクターの中でもヒューマンエラーに焦点を当てたコースであるため、「非ヒューマンファクター」の内訳に踏み込むことはしない。

ただし、たとえ「非ヒューマンファクター」が直接の原因で事故・災害が起きたとしても、その可能性を予見しておきながら予防策を講じていなかったことが分かった場合※1には、「ヒューマンファクターとしての間接原因もあり」との判断も加えておくべきだと私は思う。

現代、非ヒューマンファクターの中でおそらく代表格となろう自然現象や物理現象・化学現象等に関する研究や予測技術はずいぶん進歩した。だから、これらが原因で事故・災害が起きる可能性の予見は、かなり多くの事柄について可能だろう。

それゆえ、現代において「事故・災害の原因として、ヒューマンファクターの比率は高い」と考えても差し支えないと思う。

2-2「ヒューマンファクターの分類と発生頻度」

事故・災害の原因としてのヒューマンファクターは、コース000002での概念定義を前提に、次の4分類とする。※2

a.計画的犯罪・テロ等
b.悪意のある過ち
c.準ヒューマンエラー
d.ヒューマンエラー

さて、これらの発生頻度について考えてみる。しかしながら、国や業界等を特定せず、かつ、全件調査もしないのに発生頻度を断定することはできない。そこで、想像に基づく仮定を試みる

が、a.計画的犯罪・テロ等は、当コースの本題である「ヒューマンエラー」とはあまりにもかけ離れている出来事となるため、最も深刻な事であるものの、以降、考察から外す。

したがって、残る「b.悪意のある過ち」「c.準ヒューマンエラー」「d.ヒューマンエラー」の3項の相対的な発生頻度を想像してみる。

まずbは、雇用担当者の判定の甘さによりその組織に適していない人材を雇用してしまったり・適していない業務に配属してしまったり、組織の内情が劣悪で構成員の意欲のみならず倫理観にまで悪影響を与えているような状況でない限り、発生頻度は低いと想像する。

dは、その概念の定義により、該当範囲がかなり絞り込まれているため、cと比べ発生頻度は低い。

そのぶん、cの準ヒューマンエラーは、コース000002にて強調したように多種多様なケースがあり得る。 したがってdと比べ頻度が高いと想像する。

以上、大雑把な想像であるが、仮にこの想像結果を妥当とすれば、社会全体で事故・災害の発生件数が減少するためには、「準ヒューマンエラー」に分類されるヒューマンファクターへの対策件数が増加しなければならない理屈となる。

ついては、当コースは「ヒューマンエラー原因論」というタイトルであるものの、ヒューマンエラーのみならず準ヒューマンエラーの原因 論も扱う。

なお、悪意のある過ちは、ヒューマンエラーや準ヒューマンエラーよりも深刻な問題であるが、職員採用論や組織ロイヤリティー論などにて扱うべきと思うため※3、これ以降、主題から外す。

2-3「『準ヒューマンエラー』を原因扱いする際のポイント」

コース000002でも触れたが、準ヒューマンエラーを起こした当人に対し事故調査を行い、当人に原因を語らせようとすれば、かなりの確率で、「つい」「うっかり」という言葉を用いた説明がされるであろう。

ヒューマンエラーの定義文中にも「つい」「うっかり」という言葉が登場するわけだが、当人が「つい」「うっかり」という言葉を用いたからと言って、すかさずヒューマンエラー扱いしてしまうと、特性の仕分けがつかず、原因究明が遠のいてしまう。

したがって、「準ヒューマンエラー」を原因扱いする際のポイントは、次の通りとなる。

●準ヒューマンエラーを原因扱いする際のポイント
「つい」「うっかり」という言葉を鵜呑みにし、何もかもヒューマンエラー扱いしてしまわないこと。

私は、当人の表層意識の上では「ついやってしまった」「うっかりやってしまった」と認識されていても実際には「つい」「うっかり」ではないというケースがある、と私は想像する。それほど、「つい」「うっかり」という言葉は、使い勝手がよく、広く出回っており、結論に用いられやすい言葉だと私は判断する。

ともかく、「つい」「うっかり」という言葉を定義文中に持つ「ヒューマンエラー」でさえ、「つい」「うっかり」を原因の結論として位置づけてはいない。それにもかかわらず、準ヒューマンエラーの原因が「つい」「うっかり」と結論づけられるようでは、真の原因は不明のままとなる。

2-4「『ヒューマンエラー』を原因扱いする際のポイント」

ヒューマンエラー」を原因扱いする際のポイントも、「つい」「うっかり」という言葉で原因の結論づけをするのではなく、なぜ「つい」「うっかり」してしまったのか、その背景や経緯、原因を掴むことにある。

つまり、ヒューマンエラーの定義文の通りいったん「つい」「うっかり」には違いないと認め、その上で、危ないと分かっていながらもついやってしまった原因、うっかりやってしまった原因を究明するのである。

この究明姿勢により、「ヒューマンエラー原因の事故・災害」という観点から、「ヒューマンエラー原因は何か」という観点へと移っていくことになる。

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※1:
ヒューマンエラー以前に、このようなケースを減らすことが、求められる。
※2:
コース000002では、ヒューマンエラーのみならず、悪意のある過ち、準ヒューマンエラーも定義した。

なお、コース000002においては、「計画的犯罪・テロ等」に分類記号を割り当てていなかったため、a.悪意のある過ち、b.準ヒューマンエラー、c.ヒューマンエラーと記してある。

※3:
もちろん、犯罪としての悪質度合いも高いので、刑法の論として扱うべきでもあるが、私は法律の専門家ではないので、私を講師としたコースとしては扱わない。が、いつの日か、法学部を設置し、法曹界から担当講師を招聘したいと思う。


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●セクション3「準ヒューマンエラーの原因」

3-1「準ヒューマンエラーの原因」

「準ヒューマンエラー」であろうと「ヒューマンエラー」であろうと、実際に個々の対策※1を検討する際には、ケースごとに原因を究明する必要がある。

だが、「ヒューマンエラー」のほうは、該当範囲はヒューマンファクター全体に比べたらまるで針の先のように絞られるので、原因の共通性を仮定※2することに無理はない。そして、個別ケースとの照合により「ヒューマンエラー」の傾向を探ってみることができる。対策を検討する際の参考情報とすることもできる。

これに対し、「準ヒューマンエラー」という分類には、前パートで例示したように、あまりにも多種多様なケースが該当する。それゆえ、「準ヒューマンエラー」の範囲内での小分類すら容易ではなく、ましてや原因を一まとめで考察することには無理がある。

したがって、「準ヒューマンエラーの原因」については、やはり、ケースごとに究明するしか道はない。

ただし、「原因を探る際の共通ポイントはある」と私は判断する。それは次の8点である。

・組織/業務の理念の不備がないか、確認する。
・組織/業務の方針の不備がないか、確認する。
・組織運営/業務運営の仕組みに不備がないか、確認する。
・健康管理体制に不備がないか、確認する。
・人事制度に不備がないか、確認する。
・教育に不備がないか、確認する。
・過酷な作業環境を放置したままになっていないか、確認する。
・職場の人間関係が非良好な状態になっていないか、確認する。

これら以外にも共通ポイントはあるかもしれないが、重大なポイントは以上だと思う。次項より、これらのポイントを個別に説明する。

3-2「組織/業務の理念の不備がないか、確認する」

ここでいう「理念の不備」とは、理念がない・理念が建前でしかない・理念が不明瞭である・理念が希薄である等の状態のことである。

こうした状態であると、職員の士気もさることながら倫理観が低迷することは言うまでもない。いわゆるコンプライアンス(法令遵守)も危うくなる。

理念の不備があればコンプライアンス(法令遵守)が危うくなるという主張の根拠は、自明の理とも言えるほど当たり前で述べるまでもない、と私は常日頃思っている。

が、いちおう述べておけば、たとえば暴力団が隠れ蓑としている会社組織は理念が不備だが(なぜならば建前ではなく本物の理念があるならば暴力団を自主廃業するはずだから※3)、こうした組織の構成員のコンプライアンスは危ういはずだ。

逆に、もし、当初は隠れ蓑として発足した組織であっても、徐々に理念が芽生え始めれば当初の不純な動機は薄まり、構成員のコンプライアンスも実現し、暴力団と呼ばれる不名誉な状態は解消されるだろう。

ぶっそうなたとえをしたが、隠れ蓑ではない通常の会社であっても、理念の不備によりコンプライアンスがないがしろになり、お客様・消費者・下請け会社等々社外の人に甚大な被害をもたらすことがある。そのような時、被害者から「まるで暴力団のような組織だ」と形容されることもあるだろう。

要するに、組織の理念とコンプライアンスは一体となって上下するのだ。それゆえ、「自明の理とも言えるほど」と私は述べたのである。

さて、コース000002「ヒューマンエラー 概論-1『概念論』」のセクション4にて、準ヒューマンエラーのケースとして施設不具合の報告に関するたとえを述べたが、理念が不備で倫理観が低迷しコンプライアンスも危うい中では、特にケースB※5の発生率が高まるであろう。それどころか、「悪意のある過ち」の発生も懸念される。

だから、準ヒューマンエラーの分類に入ると疑われるケースの原因を探る際には、まずは組織/業務の理念の不備がないか確認することが必要である。確認の結果、「不備なし」と判断されれば、少なくとも「理念の不備が事故・災害の背景にある」という選択肢が減ることになり、原因究明に向けての絞り込みが一歩進む。

3-3「組織/業務の方針の不備がないか、確認する」

ここでいう「方針の不備」とは、方針がない・方針が建前でしかない・方針が不明瞭である・理由も示されずに方針が頻繁に変わる等の状態のことである。

組織や業務がこうした状態にあれば、仕事の上で職員が戸惑う機会が増え、その結果、ケースBCD※6が発生する可能性があると私は直感する。

だから理念の不備の有無を確認した後は、方針の不備を確認すべきである。確認の結果、「不備なし」と判断されれば、選択肢はさらに減り、原因究明に向けての絞り込みがさらに一歩進む。

3-4「組織運営/業務運営の仕組みに不備がないか、確認する」

ある程度以上大きな組織においては、組織が組織として自律的に機能するための諸々の仕組みが必要である。もし仕組みが不備であれば、それが直接もしくは間接の原因になり得る。だから、準ヒューマンエラーの原因を究明する際には、組織運営の仕組み等の面で不備がないか、その事故・災害との関係性の観点から、確認する必要がある。

たとえば、コース000002「ヒューマンエラー概念論」のセクション4にて施設の不具合報告に関するケースBCDEFGの事例を述べたが、もし「不具合報告書」がスムーズに記入できる書式で、その提出要領も簡単になっていたとすれば、特にケースCが発生する確率は低くなるだろう。

逆に、組織が「不具合報告書」を利用した「不具合管理体制」を導入していなかったり、体制は一応あるものの書式記入や提出要領が複雑だったりすれば、ケースC※7が発生する確率は高くなるどころか、何かの不具合を職員の全員が放置してしまう事態すら発生し得る。

で、この「『不具合報告書』を利用した『不具合管理体制』」は、お客様の安全管理に責任を負う業種においては、特に大切な組織運営/業務運営の仕組みである。

なお、上述の事例は、組織運営/業務運営の仕組みの、あくまでも一つの事例であり、仕組みは他にも多くある。たとえば、すでに開講済みのコース000030「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方」にて紹介した職務分掌 職務分掌マニュアルも有用な仕組みであるが、その他諸々の仕組みについては、次期の別コース「組織運営概論」で具体的に述べることとする。

3-5「健康管理体制に不備がないか、確認する」

健康管理体制も、組織運営/業務運営の仕組みの一つであるが、法律上の義務として定められた基準もある。法律上の基準は、いわば最低限の基準だと私は解釈しているが、それだけに、できることならばそれを上回る、心身の健康管理を行う体制を作ることが、特にお客様の安全に責任を負う業種においては、望ましい。

それにより、ケースD※8の発生率を下げることができる。また、ケース記号を割り振らなかったが、コース000002セクション4の4−2で例示した「精神の病いが原因の事故」や「睡眠不足が原因の事故」も予防できる。

だから、健康管理体制の不備の有無も必ず確認し、その結果、不備があるのなら、それがどのように影響していたか、調査すること。もし不備がない場合には、さらに絞り込みができる。

3-6「人事制度に不備がないか、確認する」

人事制度も組織運営/業務運営の仕組みの一つとなるが、スポットライトを当てておくべきと思う。

人事制度の具体的な仕組みは、コース000070「人事制度の構築と運営・運用の方法」にて詳しく説明するが、ともかく人事制度の運用により、職員各人の能力を把握することが必要である。

正確に言えば、「職員各人の能力を把握できる人事制度を作り、それの運用により、職員各人の能力を把握し、重点を置いて教育すべき事柄を把握し、能力を向上させることが必要」である。しかし、「報酬分配のためだけに作られたのではなかろうか?」と疑ってしまうほど※9、教育との関係が希薄な人事制度も存在するだろう。こうした人事制度は、育成主義人事制度の観点からすれば不備があることになる。

もし、不備があれば、たとえばケースF※10の発生率は高まる。また、いわゆる適材適所という観点からも、準ヒューマンエラーに分類されるような原因による事故・災害を引き起こす要員配置をしてしまう確率が高まる。

だから、人事制度の不備の有無も必ず確認すべきである。不備がなければ、絞り込みはさらに進む。

3-7「教育に不備がないか、確認する」

教育も体制を作って行えば組織運営/業務運営の仕組みの一つに位置づけられることになる。※11 「教育は大事」という考えは、たいていの組織はすでに了解済みだろうが、場当たりに教育を行う組織が意外に存在し、それでは「教育はしているものの、仕組みにはなっていない」ことになるので、注意を喚起しておく。

しかし、体制作りも大切であるが、それ以前に、概念定義がとても大切である。※12 というのも、教育という概念の定義を狭く捉え、その狭さに拘束された上で教育をしようとしている組織状態を見かけることがあるからだ。このような状態では、教育の対象となる事柄は限られてしまう。たとえ体制を整えたとしても、効果が小さい。

では、教育という概念をどのように捉えれば良いのか?

実は、この課題については、私が言うまでもなく、たとえば岩波書店の広辞苑で「教育」と引いてみてもずばりヒントが出ていて、私も講演や執筆等で機会あるごとに紹介してきたのだが、
「望ましい姿になってもらうための働きかけ(広辞苑を参考に記述)」が、教育なのである。

集合研修を開催し有名人を講師として招くことで教育をしたと思ったり、それこそeラーニングや通信教育を受講させ修了証を取得させたことにより教育をしたと思ったりしても全く構わないのだが、そうした方法は、工夫次第では相当数多く考えられるはずの「望ましい姿になってもらうための働きかけ」の、ほんの一部でしかない。もし、ほんの一部しかやっていないのであれば、不備と言えよう。

教育が不備であれば、特にケースEFG※13が発生する確率が高まるであろう。

だから、教育の不備の有無も確認すべきである。不備がなければ、さらに絞り込みは進む。

なお、職員・社員・従業員の教育のあり方・方法論についてはコース000700「社員教育・概論-1」にて説明する。が、とりあえず、「望ましい姿になってもらうための働きかけ」が教育であると理解頂き、さっそく様々な方法を工夫し※14、準ヒューマンエラーの予防に努めて頂きたい。

3-8「過酷な作業環境を放置したままになっていないか、確認する」

職務によっては、一時的に過酷な作業環境に置かれることが、やむをえない場合もある。いくら法律が規制しようと、職務遂行上やむをえない現実はあるのだ。

しかし、たとえそうであっても、組織としては、そうした作業環境を放置しておくのではなく、少しでも改善するか、作業環境そのものを改善できないまでも、そうした環境下で職務に取り組む人たちを心身ともに支える体制を作り、強力に支援しなければならない。

とかく、旧来の日本の組織は、いまだ第2次世界大戦の日本陸軍の戦い方を引き継いでいるのではないか? と疑われても仕方ないような、仕事の最前線の扱いをしがちだと、私は思う。

つまり、まともな補給体制・支援体制もないまま僅かな資源を持たせ、根性で勝利を勝ち取ってくるよう、兵士を最前線に送り出すようなやり方である。※15

不幸で凄惨なたとえを出してしまったが、非戦闘組織の仕事の最前線においても、僅かな資源を持たせ根性で良い仕事をするよう職員に言いつけ後は放置しておくのでは、たとえ一時的には成果が出たとしても、いずれ疲弊するし、士気も下がる。そうなれば、準ヒューマンエラーのケースBCDEが発生する確率が高まるであろう。それどころか、「悪意のある過ち」の発生確率が高まる。いや、過酷な状況から脱することさえできればどうなっていいとばかり、計画的犯罪を起こす者が出てくることすら懸念される。

だから、過酷な作業環境を放置したままになっていないか、たとえ法整備が進んだ21世紀の現代であろうと、念のため確認すべきである。問題がなければ、さらに絞り込みは進み、原因特定のゴールはかなり近づく。

なお、組織による仕事最前線の支援の方法については、次期別コース「組織運営・概論」にて詳しく説明する。が、とりあえず、さっそく、過酷な作業環境を放置したままになっていないか、作業現場を点検して、準ヒューマンエラーの減少に努めて頂きたい。

3-9「職場の人間関係が非良好な状態になっていないか、確認する」

これこそ、今さら言うまでもないことになるが、職場の人間関係が非良好的な状態であれば、士気は下がるし、メンタルヘルスも良くない状態となる。そうなれば、準ヒューマンエラーのケースBCDEが発生する確率が高まる。「悪意のある過ち」の発生確率も高まる。それどころか、恨みをはらさずにおけるものかと計画的犯罪を起こす者が出てくることすら懸念される。

だから、職場の人間関係が非良好な状態になっていないか、念のため確認すべきである。

前項までのポイントに加え、職場の人間関係も良好であることまで確認されたならば、絞り込みはかなり進んだことになる。準ヒューマンエラーとして残された可能性はいよいよ小さくなり、ヒューマンエラーとして原因究明すべき状況へ移る段階が近づくことになろう。

3-10「多数原因の可能性も忘れないこと」

以上、原因究明時のポイントを述べたが、説明の流れとしては絞り込みのステップのようにも扱った。このステップの面での説明は、その事故・災害の原因が単数であるとの前提に立った便宜的なものである。

しかし現実には、事故・災害の原因が、直接・間接あわせ、多数となる場合もある。したがって、原因究明時には、以上の流れで絞り込みをしつつも、多数原因の可能性も常に意識しておき、無理に単数へと絞り込むことのないようにすること。つまり、もし「理念の不備」がありそれが原因であることが確認されたからと言って、次のステップである「方針の不備」はもはや無いと決めつけ、そこで究明を終えてしまうことがなきよう。

これも、前項までとは別の面での、原因究明時のポイントとなるので、最後に付け加えておく。

<次セクションへ続く>

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※1:
対策は、未然に防ぐ対策(予防策)と、再発防止策の二種類ある。ここでいう「対策」は、両者を区別せず一括りで言う。しかし、対策論の観点においては、両者は区別し、それぞれのスタンスにて語る必要がある。が、それはコース000004「対策論」にて行うこととし、ここでは、とりあえず引き続き一括りで「対策」と呼ぶ。
※2:
原因の共通性の仮定は、不完全帰納推理にて行う。不完全帰納推理とは、全件調査をせず、一部の複数サンプル間の共通性を抽出し、それにより対象全体の共通性を仮定する方法である。なお、この類の思考方法については、次期開講予定の「思考力訓練学科」において徹底的に訓練を行う。お楽しみに!
※3:
「不道徳な理念はない」との大前提に立つ判断である。
※5:
コース000002「ヒューマンエラー概論-1『概念論』」のセクション4を参照のこと。そこに、ケースBの内容が詳しく記載してある。なお、ケースBの便宜的名称は、「他人事という意識が原因の過ち」とした。
※6:
コース000002「ヒューマンエラー概論-1『概念論』」のセクション4を参照のこと。そこに、ケースCDの内容が詳しく記載してある。なお、ケースCの便宜的名称は、「面倒臭さがが原因の過ち」、ケースDの便宜的名称は、「過労による気力喪失が原因の過ち」である。
※7:
ケースCの便宜的名称は、「面倒臭さがが原因の過ち」。詳しくはコース000002「ヒューマンエラー概論-1『概念論』」のセクション4を参照のこと。
※8:
ケースDの便宜的名称は、「過労による気力喪失が原因の過ち」。詳しくはコース000002「ヒューマンエラー概論-1『概念論』」のセクション4を参照のこと。
※9:
職員各人に対する評価(人事考課)により各人の能力を掴むことができていないか、できていても教育計画に反映していない場合、「報酬分配のためだけに作られた人事制度ではなかろうか?」と私は疑ってしまう。
※10:
ケースFの便宜的名称は、「能力不足が原因の過ち」。詳しくはコース000002「ヒューマンエラー概論-1『概念論』」のセクション4を参照のこと。
※11:
組織運営/業務運営の仕組みとなるほどの教育体制とするためには、人事制度との連携を取ることが必要である。もっとも、教育は「人の事」なのだから、人事制度の中に教育制度が含まれているのが本来の姿だとも言えるが・・・。
いずれにしても、人事制度と教育の連携の仕方については、次期の別コース、実用書式eラーニング「育成主義・チームワーク型人事制度の設計方法」にて詳しく説明する。
※12:
もちろん、「教育」以外の概念であっても、定義は大切である。ここでは、ことさら「教育」は概念定義が大切という意味で、こう述べた。
※13:
ケースEの便宜的名称は、「忙しさが原因の過ち」。ケースFの便宜的名称は、「能力不足が原因の過ち」。ケースGの便宜的名称は、「忙しさが原因の過ち」。詳しくはコース000002「ヒューマンエラー概論-1『概念論』」のセクション4を参照のこと。
※14:
とりあえず、集合研修やeラーニング、通信教育のように、かっちりとした枠組みの中で行われる教育だけが教育ではない、との意識を持って頂きたい。そして、結果、望ましい姿になってもらえれば、一見、教育とは思えないような方法であっても構わないとの気構えで、働きかけの様々な工夫をして頂きたい。
事故調査 分析 報告書作成 支援 サポート 手伝い
※15:
私は昭和29年生まれなので、第2次世界大戦を直接知っているわけではない。あくまでも、教師や元軍人、ドキュメンタリー番組や書物等からの情報に基づく解釈である。
事故調査 分析 報告書作成 支援 サポート 手伝い
事故調査 分析 報告書作成 支援 サポート 手伝い


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 セクション4「ヒューマンエラー原因

4-1「ヒューマンエラーに的が絞られた段階の状況とは」

さて、準ヒューマンエラーの可能性が排除され、いよいよヒューマンエラーに的を絞っての原因究明の段階になったと想定する。

まず、その段階の状況の特性を確認すると次の通りである。

・組織/業務の理念や方針に不備は無い。
・組織運営/業務運営の仕組みに不備は無い。
・健康管理体制、人事制度、教育に不備は無い。
・業務の最前線に対する組織支援が有る。
・職場の人間関係が良好な状態である。

4-2「それでも発生の可能性があるヒューマンエラー

前項のような状況は、組織運営の状態としては、かなり理想的と言えよう。「これだけ理想的な職場で働くのであれば、ヒューマンエラーなど発生しないのでは?」と思う人もいるかもしれない。

しかし、それでも発生の可能性があるのがヒューマンエラーである。いや、正確に言えば、「それでも発生の可能性があるのがヒューマンエラーであると位置づけるように、コース000002において、ヒューマンエラーの定義を思い切り狭くした」のである。※1

では、本当に、これだけ理想的な職場であってもヒューマンエラー発生の可能性があるのだろうか?

コース000002におけるヒューマンエラーの定義を前提とすれば、yesである。

なぜならば、人間は完璧なマシン※2というわけではないからである。憂いなく仕事をしている中、何かしらの原因によって、危ないと分かっていながらも、「つい」「うっかり」過ちを犯してしてしまうことが、発生率の大小はさておき、あり得るからだ。つまり、ヒューマンエラーの可能性をゼロにすることはできないのである。※3

4-3「可能性ゼロ達成ができなくても原因究明をやめてはならない」

可能性ゼロ達成ができないならば原因究明しても仕方ないといった、all or nothing的な極端な意見を以前聴いたことがあるが、やはりヒューマンエラーの原因はあくまでも究明しなければならない。

なぜならば、原因を掴めば、

1.作業特性によっては、ヒューマンエラーがそもそも発生しようがない仕組み・仕掛け等を作ることが、工夫次第で可能となるから

2.可能性ゼロ達成ができなくても、限りなくゼロに近づける努力を継続する義務が組織にはあるから

3.作業特性によっては、ヒューマンエラーが発生しても、それによる悪影響を遮断する仕組み・仕掛け等を作ることが、工夫次第で可能となるから

4.悪影響を遮断する仕組み・仕掛け等を作ることができない場合でも、ヒューマンエラーによる悪影響を減少させる努力を継続する義務が組織にはあるから

である。

なお、2と4が同じことを言っているように誤解されるかもしれないので補足すると、2はヒューマンエラーそのものの可能性を下げる努力のことであり、それに対し4はヒューマンエラーの発生を前提にヒューマンエラーによる悪影響を下げる努力のことである。

4-4「ヒューマンエラーの原因の共通性とは」

さて、当コースは、コース000002における極めて狭い「ヒューマンエラーの概念定義」を前提に考察をしている。それゆえセクション3にて「原因の共通性を仮定することに無理はない」と述べた次第だが、正確に言えば「サンプルケースから諸原因の共通性を仮定することがしやすいように、ヒューマンエラーの概念定義を極めて狭くした」のである。

そのため、ヒューマンエラーの原因の共通性は、コース000002での定義および解説の中に、すでに仮定されているかたちとなる。

そこでコース000002へ戻り確認して頂くと手間をお掛けすることになるので、復習も兼ね、同じ内容を次項に転記する。

4-5「ヒューマンエラーの定義の復習」

【復習】コース000002概念論より

まず、ヒューマンエラーの定義であるが、それは、
「危ないと分かっていながらも、つい犯してしまう過ち、うっかり犯してしまう過ち」である。

では、ヒューマンエラーの狭義の定義文の中で述べた「つい犯してしまう過ち」「うっかり犯してしまう過ち」とはどういう過ちなのか? 

それは、作業中意識は継続的に覚醒し、かつ、以前より危険性を承知し、後から振り返ってみても危険性を充分理解できるものの、その時にだけ危険性についての認識が薄れてしまい、「不安全な行動・動作に対する牽制作用」等が働かなかったり、「不安全な状態への対処」「正しい行動・動作」等をしなかったために起きる過ち、

または、

作業中意識は継続的に覚醒し、かつ、過ちを犯す以前・犯す寸前・犯す瞬間いずれの時点においても危険性を認識していたものの、その認識が、「不安全な行動・動作に対する牽制作用」等や、「不安全な状態への対処行動・動作」「正しい行動・動作」等へとつながらなかったために起きる過ち、

である。

この説明はだいたいの説明であり、両者を完璧には区分できない上、両者が混ざり合う場合もあると思う。が、理解を進めていくため、あくまでも便宜的に、以降、前者をヒューマンエラーA、後者をヒューマンエラーBと呼ぶ。

では、ヒューマンエラーAとヒューマンエラーBに共通する要素は何か?

それは、作業中意識が継続的に覚醒していることである。(眠気がさしたり呆然自失となったり等の状態ではなく、頭も冴え思考も円滑な状態)

また、Bのほうの文章には記載していないが、「以前より危険性を承知し、後から振り返ってみても危険性を充分理解できる」点も、両者の共通点である。

ヒューマンエラーAとヒューマンエラーBで異なる点は、
ヒューマンエラーAでは、その時にだけ危険性についての認識が薄れる点、

これに対しヒューマンエラーBでは、過ちを犯す以前・犯す寸前・犯す瞬間いずれの時点においても危険性を認識しているという点が異なる。

また、

ヒューマンエラーAでは、「不安全な行動・動作に対する牽制作用」等が働かなかったり、「不安全な状態への対処行動・動作」「正しい行動・動作」等をしなかったために起きるという点、

これに対しヒューマンエラーBでは、危険性の認識が、「不安全な行動・動作に対する牽制作用」等や、「不安全な状態への対処行動・動作」「正しい行動・動作」等へとつながらなかったために起きるという点、が異なる。

【復習以上】

4-6「ヒューマンエラーの原因の共通性の仮定」

さて、前項の中に、ヒューマンエラーの原因の共通性は、どのように仮定されているのか?

「共通性の仮定」は特定のケースに限定しないからこそできるため抽象的な表現となるが、それは次の通り。

ヒューマンエラーAにおいては、

その時にだけ危険性についての認識が薄れてしまい、「不安全な行動・動作に対する牽制作用」等が働かなかったり、「不安全な状態への対処」「正しい行動・動作」等をしなかったこと、である。

ヒューマンエラーBにおいては、

危険性についての認識が、「不安全な行動・動作に対する牽制作用」等や、「不安全な状態への対処行動・動作」「正しい行動・動作」等へとつながらなかったこと、である。

なお、繰り返すが、ヒューマンエラーAとヒューマンエラーBは厳密に区分できず、また、両者が混ざり合う場合もある。これをお忘れなきよう。

4-7「ヒューマンエラーの原因究明時のポイント」

前項までの記述を前提に、ヒューマンエラーの原因究明時のポイントを述べると、次の3点となる。

1.その時にだけ危険性の認識を薄れさせてしまった要因はないか、確認すること。

2.「危険性の認識」が「不安全な行動・動作に対する牽制作用」等や「不安全な状態への対処行動・動作」「正しい行動・動作」等へとつながるプロセス※4に割り込んできた要素はないか、確認すること。

3.前記2点がないことが確認されたならば、これら以外の原因を探すこと。※5

4.以上のような要因・原因が無いことが確認されたならば、ヒューマンエラーが原因で起きた事故・災害という観点をいったん脇に置き※6、準ヒューマンエラーが原因で起きた事故・災害ではないか改めて調査を行ない、そうであることが確認されたならば、その準ヒューマンエラーの原因究明へと切り替えて調査を継続すること。

上記のポイントは、原因究明のポイントであると同時に、絞り込みのステップでもある。つまり、1→2→3→4の順で絞り込みを行うことを私は勧める。

ともかくヒューマンエラーの該当範囲は極めて狭いので、特に4のステップは、重要である。「ヒューマンエラーによる事故・災害だと思い込んで原因究明を続けた結果、実はそうではなく、準ヒューマンエラーということが判明!」といった可能性は常に潜んでいるとの心構えで調査にあたるほうが、見落としがない。

ただし、セクション3でも述べたように、事故・災害の原因が、直接・間接あわせ、多数となる場合もある。したがって、原因究明時には、以上の流れで絞り込みをしつつも、多数原因の可能性も常に意識しておき、無理に単数へと絞り込むことのないようにすること。つまり、もし1が確認がされ、要因も掴めたからと言って、もはや2はないと決めつけ、究明を終了してしまうことがないようにしなければならない。これも、別の面での、原因究明時のポイントとなるので付け加えておく。

では、1や2に該当する要因、3に該当する原因とは、具体的には何か?

何度も述べたように、それはケースを特定しない限り、明らかにすることはできない。

つまり、要因・原因を具体的に述べるには、事故・災害を特定したケーススタディを行う必要がある。ケーススタディは、次期以降のコースにて行う。概論である当コースでは行わない。

とはいえ、上記のままではイメージが沸かない人もいよう。ついては、その参考用に、上記ポイントでいう要因・原因に該当する要素(事象・事態・状態・状況・場合等)の一般論的な例を、右欄のリンクをクリックした先に列挙しておく。→

また、1と2の領域は、認知心理学や行動科学などの学問において、掘り下げた研究が行われていることであろう。当コースは、組織運営学科のコースであるため、認知心理学や行動科学には踏み込まない。が、インターネットにて情報が入手できる先を確認しだい、順次、参考用に下記にリンクとして紹介します。

※下記はリンクの申し込みをしていません。もしこの私の行為によって問題が生じているサイトがあることが分かった場合には、info@free-web-college.comへご一報下さい。該当サイトはただちに削除します。もちろん先方へ通報して下さっても結構です。よろしくお願い致します。

●サイト(ページ)の紹介

http://www.medicalsaga.ne.jp/tepsys/MHFT_index.html
株式会社テプコシステムズが開設。河野龍太郎氏による「医療のヒューマンファクター工学について」と題したコンテンツですが、医療以外の業務にも応用できる点が多くあります。

http://www.ghi.tohoku-gakuin.ac.jp/~yoshida/html/HumanErorr/fr_html/1-1.html
東北学院大学教授の吉田信彌氏のサイト内にある「ヒューマンエラー」に関する一連のページ。特に5ページ目以降の「ノーマンのスリップ分類とスキーマ論」の解説は参考になります。

http://staff.aist.go.jp/kitajima.muneo/Japanese/PAPERS(J)/NIBH-News-H10.html

独立行政法人産業技術総合研究所のサイト内にあるユビキタスインタラクショングループの北島宗雄氏のページの一つ。画面左下のpdf fileをクリックして得られる情報に、視覚情報処理や知識利用過程におけるエラー発生に関する研究成果が要約紹介されています。

http://www.jal.com/ja/safety/section/jal_j/jascrm.html

日本航空のサイト内にある「安全情報」のページで、CRM(スレット&エラーマネージメント)という名称の安全管理・ヒューマンエラー対策のコンセプトが、平易で分かりやすい文章にて解説されています。

 <次セクションへ続く>

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※1:
つまり私は作為的な定義をしたわけである。自然現象や物体・人体等々に関係する事柄は、作為的な定義は避けるべきだ。しかし、これら以外の事柄で、かつ、定義内容が有効に利用できる場合には、定義をする者の責任範囲内において、作為的な定義をして構わないと私は思う。
※2:
マシンであってもエラーはするし故障もする。あくまで、いわば文学的な形容として、こうした表現を使用した次第である。ご了解ください。
※3:
特定の事柄においては、可能性をゼロにすることはできよう。ここでは、特定しない場合を言う。
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※4:
ここでいう「プロセス」とは、3つ以上のステップを踏むプロセスのみならず、2つのステップで達成させるプロセスのことも指す。
※5:
「これら以外の原因」は、ケースを特定しない限り有無を語ることはできないし、有るとしてもそれがどのようなものか語ることはできない。
※6:
ヒューマンエラーではないのに、ヒューマンエラーだと思い込んでいた場合には、いくらヒューマンエラーとして原因を探しても見つかることはない。
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セクション5「ヒューマンエラー 原因論のまとめ」

ヒューマンエラー概念論に続くシリーズとしての原因論は、ここまでとする。次は、同じく概論として対策論のコースとする。
ついては、特に重要な点を確認することを以て、まとめとさせて頂く。

1.たとえ「非ヒューマンファクター」が直接の原因で事故・災害が起きたとしても、その可能性を予見しておきながら予防策を講じていなかったことが分かった場合には、「ヒューマンファクターとしての間接原因もあり」との判断も加えておく。

2.社会全体で事故・災害の発生件数が減少するためには、「準ヒューマンエラー」の分類に該当するヒューマンファクターへの対策件数が増加しなければならないという理屈が成り立つ。

3.準ヒューマンエラーを起こした当人が「つい」「うっかり」という言葉を用いたからと言って、すかさずヒューマンエラー扱いしてしまうと、特性の仕分けがつかず、原因究明が遠のいてしまう。

4.「ヒューマンエラー」を原因扱いする際のポイントも、「つい」「うっかり」という言葉で原因の結論づけをするのではなく、なぜ「つい」「うっかり」してしまったのか、その経緯や背景、原因を掴むことにある。

なお、特に「準ヒューマンエラーの原因を探る際の共通ポイント」(セクション3)において自動的に浮上したように、事故・災害は、直接原因としては個人的ヒューマンファクターと疑われる場合であっても、経緯や背景に組織運営上の問題が潜む可能性が充分ある。

それにもかかわらず、事故・災害の原因を個人的要因へと早計に寄せ込もうとしたり、その際の使い勝手が良い言葉として「ヒューマンエラー」を用いたりすることのなきよう※1、注意を喚起して当コースを終える。

では、次のコース000004ヒューマンエラー概論-3「対策論」や、別のコースでまたお会いしましょう。

  <コース000003 おわり>

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※1:
組織の責任をヒューマンエラーをしてしまった個人だけに押しつけ、いわば「とかげの尻尾きり」のようにしてしまう組織風土がもしあるならば、似たような事故・災害が再び発生するだろう。それはもはやヒューマンエラーではなく準ヒューマンエラーである。

●制作・著作:蒔苗昌彦(担当講師)

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●以下は、推薦サイトです。(フリーWebカレッジ以外の教育情報・eラーニング系サイト)

1.財団法人高度映像情報センター eラーニングその他各種教材のポータルサイト 利用 の手続き不要の公共サイト
  → http://www.kyouzai.info/ 

2.マサチューセッツ工科大学(MIT)オープンコースウエア(OCW)。同大学が公開する講義・教材にて誰もが で勉強ができる。
  → http://ocw.mit.edu/

3.日本eラーニングコンソシアム(eLC)が運営するeラーニング情報ポータルサイト。eラーニングに関する最新ニュース、企業・学校のインタビュー、講座、イベント、書籍の紹介。また「eラーニング」製品を検索できる。
  → http://www.elc.or.jp

4.総務庁消防庁が運営する、防災・危機管理がテーマのwebカレッジ。
  写真を活用した分かりやすい内容で、子供から大人、一般人から専門家まで、幅広く学ぶことができる。
  → http://www.e-college.fdma.go.jp


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