●セクション40
住宅街の半闇の中に溶け込んでいく叔父の後ろ姿。母と一緒に見送っていると、携帯メールが着信した。今では大親友となったU子からだった。彼女は引き続きバトル遊園の衣服部の事務担当だった。そして退職した会社からの、貴重な情報源でもあった。
「かえって入園者増えたわよ! 記念撮影に来るヒトなんかもいたりして・・・。」
ともかく健全なテーマパークとは対局となるバトル遊園。それならではの社会現象だろう。なにしろ、バトルジェットの建物は幽霊屋敷へ改造されるためさっそく工事が始まった、と、デマが飛んでいるほどである。何でもありだ。
「サンキュー! じゃ、こんどの日曜、おめかししてきてネ!」と私はU子へ返信をした。
あ、申し訳ない。後先が逆になってしまった。
実は先月、U子の従業員用チケットを使って、彼女と二人でバトル花火を見ることなり、通用門で合流した。その時、ばったりK君と会い、U子が一目惚れしてしまったのだ。危機管理の勉強があまりにも奥深く、今はそうした相手がいない私は、叔父の息子、つまり私の従兄弟へ頼み込み、来週、ダブルデートの体裁を取ることになったのである。
あっ! デートと言えば、もっと大切な事を話し忘れていた。また後先が交錯してしまうが、最後に是非!・・・。
一年前。任務を終えた翌週、私は大学病院へA子さんのお見舞いに行った。
手術は成功し経過は極めて順調と聞いていたので、足取りも軽く病院新館の広いロビーへ飛び込むと、A子さんの教育係であった臨職の彼とすれ違った。
特大の花束で顔が隠れた私に、彼のほうは気づかなかった。声を掛けようと思ったが、その表情を見た瞬間、やめることにした。なぜなら、とても幸せそうに見えたから・・・。病室へ入り初めて元気なA子さんに会った時、この私の感じ方に誤りがないことを確信した。
そして、今日。ご両親からの手紙。
現在は公共団体の正職員として働く彼が結婚の相手、と書いてあった。きっと、入院中のお見舞いと退院後のお付き合いで、愛が育まれたのだ。
おめでとう、A子さん。ほんとうにおめでとう!
<おわり>
以上にて、すべて終了です。
長期コースの受講、大変お疲れさまでした!
担当講師:蒔苗昌彦


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