当コースは、独自に「職務分掌マニュアル」という用語を使っている。なぜ、これまで別々の用語だった「マニュアル」と「職務分掌」の言葉をくっつけた造語を使うようになったのか? 経緯は次の通りである。
実は、私は以前、当コースで紹介する形態の文書は「職務分掌マニュアル」とは呼ばずにただ「職務分掌」と呼ぶようにしていた。コンサルタントとして企業の指導をする際にも、職務分掌と呼ぶように指導していた。この指導経験を通じて次の点を痛感した※1。
1)多くの人が「業務分掌」と「職務分掌」を明確に分けて考えていない。分けて考えるよう強く指導しても、分けて考えることの価値を理解しない。
2)「業務分掌」と「職務分掌」を分けて考えることができる人であっても、「職務分掌」とは職務の概要を記述するだけで充分だと考え、具体的な手順についての記述は職務分掌の範疇ではないと主張する人がいる。
3)前項2)の主張をする人は、具体的な手順については、「必要に応じて、現場が、随時、マニュアルを作成し自己管理すればよい」との主張をし、同時に「全社的な規定体系の中にマニュアルを位置づける必要はない」との主張をする。
まず1)について補足をすると、「業務分掌」と「職務分掌」はあくまで分けるべきと私は判断する。なぜならば、役割分担は、部署の単位で割り振られた役割分担と、人の単位で割り振られた役割分担に分けることができる※1。 そして、前者を「業務分掌」、後者を「職務分掌」と呼ぶことができるが、両者を明確に分けなければ、部署全体の役割と部員各人の役割が不明となり、結果、責任の所在が不明になる。少なくとも私にしてみれば、「業務分掌」と「職務分掌」は趣旨と目的が違うのである。(異なるのである)
で、職務分掌マニュアルと呼ぶにせよ職務分掌と呼ぶにせよ、「職務に関する規定」は、あくまでも規定体系の中に配置すべきであり、作業手順など詳細を規定する場合は、それも体系の中に配置されるべきだ。そして、規定体系の中に配置される以上、規定を管理する職務によって統括されるべきで、各部署が独自に作成しそれを中央が把握していない状態は回避すべきである。このため、上記1)〜3)で紹介したような考えや主張は、私は否定する。
否定しながらもどうにか私の考え方を受け入れてもらうため、職務遂行に関する規定書を「職務分掌」と呼ぶことに固執することを或る時期から止めた。そして、いったん「マニュアル」と呼んだ上で、「マニュアルには取り決めが記載されているわけだから、マニュアルは規定の一種である」との説得をするように変えた。つまり、私の頭の中では便宜的に、職務分掌=マニュアルとしたのである。
が、こうしたらこうしたで、「職務分掌」という言葉の使用を止めて「マニュアル」という言葉に統一することを拒否する人も出てくる。そのような場合のために、妥協策として「職務分掌マニュアル」(もしくは「職務マニュアル」)と呼ぶことにした。
堂々巡りの感もするが、このことも、多くの人にとって「マニュアル」そして「職務分掌」という概念がそれぞれ単独では不明瞭であることの証しだと私は思う。
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Part1「職務分掌マニュアルのあり方」
section5「職務分掌マニュアルによって明確となる職務責任・職務権限」
Part2「職務分掌マニュアルの作り方」
Part3「職務分掌マニュアルの使い方」
関連コース000070 「人事制度の構築と運営・運用の方法」
●制作・著作:蒔苗昌彦(担当講師)
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