作業手順書の作成・事例編-1(サンプル編)」

 ■その1「火災対応手順書・大規模屋内集客施設編」


 フリーWebカレッジ 組織運営学科 コース000032  担当講師:蒔苗昌彦 eラーニング 通信教育

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セクション1「事例作成にあたっての想定」

1-1「火災を想定した場所」

火災対応手順書は、どのような場所で火災が発生したか、それによって手順が異なる部分があるため※1、場所を想定した上で作成する必要がある。

当コースでは、ほとんどの人たちが利用した経験を持つであろう、多くの人たちが勤務した経験を持つであろう大規模屋内集客施設において、火災が発生した場合を想定する。これにより、事例(サンプル)が示す状況について受講者が想像をめぐらすことを容易にしたい。

ここでいう大規模屋内集客施設とは、不特定多数の人が任意に出入りする複数階の大規模なビル、および、こうしたビルを含んだ敷地全体を想定している。たとえばデパートや駅ビルがその典型であるが、何も商業施設に限らず、非商業施設であってもこうした施設はあり得る。たとえば自治体の本庁ビル等でさえも該当すると私は考える。したがって、コース受講上は、事例(サンプル)の大前提をあくまでも「大規模屋内集客施設」という抽象的な概念に止めおいて頂き、たとえば「デパート専用」「駅ビル専用」といったような形で特定をしないで頂きたい。特定をする時とは、当コースを参考にするなりして、実際に受講者自身が勤務する施設専用の火災対応手順書を作成する時として頂きたい。

なお、ホテルや旅館等の宿泊施設も、大規模屋内集客施設の一種と解釈できる余地があろうが、
1)利用客が自分の部屋の内側から鍵を掛けることができる
2)睡眠という不活発な状態に置かれてしまう
3)外出中か在室中か不明な場合がある※2
等の特性があるゆえ、さらに複雑な手順を踏まざるを得ないと判断する。当コースのパート2で紹介する事例(サンプル)は、こうした特性を考慮に入れた手順としていないゆえ、宿泊施設は対象から外れる。
前述の「私の『火災で逃げ惑う人の姿をテレビ報道で目にした経験』」とは、実際にはホテル火災であるだけに、宿泊施設の火災を想定した場合の作業手順書事例(サンプル)については、いずれパート3以降に追加したいと思う。

1-2「事例(サンプル)が『火災予防』ではなく『火災対応』である理由」

当コースで紹介する事例(サンプル)は、あくまでも文字通り「火災対応」の手順書である。決して「火災予防」の手順書ではない。
しかし、火災という災害は、そもそも予防によって発生させないことが求められるわけで、火災予防手順書の作成を優先しなければならない。それにもかかわらず、当パートで紹介する事例(サンプル)が「火災対応」の手順書でしかないのは、火災の予防とは施設の設計・素材・防火設備・機器等の性能およびメンテナンスや使用方法・管理方法等に依存し、こうしたハードウエアの領域は私の知識がおよばないから、である。
したがって、火災予防について勉強したい人は、大学の工学部や建設会社・防災設備機器メ-カ-等のハードウエア関連の情報、消防庁の情報等を頼りにして頂きたい。
当コースは、あくまでも「火災が発生してしまったらどう対応するか」という、人の行動にスポットライトを当て、手順の事例(サンプル)を述べることとする。

なお、人の行動にスポットライトを当てる関係上、当コースのすべての事例(サンプル)は、コース000030「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方」でいうところの「行動レベル」の作業手順書に限定する。たとえば消火器の扱い方等の「動作レベル」の作業手順書は、事例(サンプル)として掲載しない。

1-3「事例(サンプル)の対象者想定(事例(サンプル)手順書に基づき誰が行動を起こすのか)」

事例(サンプル)の手順書が対象とする人たちは誰か? つまり、事例(サンプル)の手順書に基づき誰が行動を起こすのか? その想定は、大規模集客施設の運営 業務に携わる職員、および、施設から委託を受けている警備会社の警備員とする。
これら職員とは、雇用期間に定めのない従業員(いわゆる正社員・正職員)に限らず、臨時に雇用された従業員、派遣社員、業務委託先社員のいずれであっても該当する。一時的に出入りする業者(たとえば、内装や電気などの工事業者、物品を届けにくる運送業者等)は、対象外とする。

1-4「『事例(サンプル)紹介』の意味(どこの施設を事例(サンプル)としているのか)」

次セクション以降、「事例(サンプル)」と称して紹介する火災対応手順書であるが、どこか実際の施設において設定されている手順書をひっぱってきて事例紹介するわけではない。
「当コース担当講師の私が、もし大規模屋内集客施設の経営トップに就任したら、自らの責任と権限において、こうした作業手順書を作成し、職員を指導するであろう」との仮定に基づく事例(サンプル)作成である。消防署等の公的機関からの指導や承認を受けたものでもない。誤解なきよう。

<次セクションへ続く>

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《目次》サイトマップ

●はじめに「当コースにて示す作業手順書の事例(サンプル)とは」
●事例(サンプル)その1・火災対応手順書・大規模屋内集客施設編」
 セクション1「手順書の事例(サンプル)作成にあたっての諸想定」
 1-1「火災を想定した場所」
 1-2「事例(サンプル)が『火災予防』ではなく『火災対応』である理由」
 1-3「事例(サンプル)の対象者想定」
 1-4「どこの施設を事例(サンプル)としているのか」
 
セクション2「大規模屋内集客施設における火災対応のポイント」火災対応マニュアル
 2-1「とにかく人命救出を全職員の義務とし、物品の搬出は義務としない」
 2-2「あらかじめ定めた職務ごとの対応のみならず、
              火災発生時点の偶然の立場も考慮した手順を定める」
 2-3「火災規模に関わらず発見したら一番に消防署への通報を行うこととする」
 2-4「物品にこだわらずに済むよう十分な保険加入やその他措置を講じておく」
 2-5「火災に関する教育を頻繁に行う」
セクション3「火災対応手順書事例(サンプル)-1・火災発見者」火災対応マニュアル
 3-1「簡素にすべき火災発見者の手順/その理由」
 3-2「火災発見者の手順のポイント」
 3-3「初期消火についての考え方」
 3-4「施設の外に出た後の行動についての考え方」
セクション4「火災対応手順書事例(サンプル)-2・避難誘導者」火災対応マニュアル
 4-1「避難誘導者の手順のポイント」
 4-2「非常放送の位置づけと避難誘導者の判断」
セクション5「火災対応手順書事例(サンプル)-3・施設総責任者」火災対応マニュアル
 5-1「施設総責任者の手順のポイント」
 5-2「補佐をつけることの重要性」
 5-3「避難集合場所の選定」
 5-4「消防署との連携」
セクション6「火災対応手順書事例(サンプル)-4・エリア責任者」火災対応マニュアル
 6-1「エリア責任者の手順のポイント」
 6-2「最終確認の義務」
セクション7「火災対応手順書事例(サンプル)-5/6/7・警備隊」火災対応マニュアル
セクション8「おわりに」

※1:
施設の用途、施設の立地、施設の形状、施設の仕様、利用者の置かれる状態、要員数、バックアップ体制など、様々な要素が、施設ごとの特性を作っている。その要素が同じでない場合には、手順も同じでない可能性がある。だから、慎重に自らの施設の特性を見定めた上、火災対応手順を定める必要がある。
※2:
左記の宿泊施設ならではの特性は、※1で挙げた「利用者の置かれる状態」という要素の、典型的事例(サンプル)だと思う。いずれにしても、宿泊施設の火災対応手順は、個々の施設の特性に応じ、かなり慎重に定める必要がある。

●制作・著作:蒔苗昌彦(担当講師)

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