人事制度の構築と運営の方法」(MM式チームワーク主義育成型人事制度) フリーWebカレッジ


フリーWebカレッジ 組織運営学科 コース000070「人事制度の構築と運営の方法」 担当講師:蒔苗昌彦


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<パート1>

●セクション3「人事制度の特徴

人事制度の特徴は、何よりもチームワーク主義・人材(人財)育成主義であることだ。つまり、仕事の上でのチームワークを重視し、人材(人財)を育成することを重視することである。そしてさらに、次のような特徴を持つ。

1.いわゆる正社員・正職員を対象とした人事制度である
2.いわゆる正社員・正職員は、全員が管理職・監督者、
  もしくはその予備役もしくはその候補者、もしくはいずれそう
  なるよう努力義務がある者として雇用する※1
3.いわゆる定年制を前提とする
4.いわゆる終身雇用を前提とする
5.上司による部下の育成義務を極めて重視する
6.人事制度以前に懲戒制度が機能していることを前提とする※2
7.考課は人材育成のPDCAサイクルのC(チェック)の部分に位置
  付ける
8.前項ゆえ、人材育成の基準がまずありきとなり、考課基準は
  人材育成の基準をそのままスライドして用いることとする
9.いわゆる定量的な評価はせず、いわゆる定性的な評価を考課に
  用いる
10.考課は、能力考課と実務考課(業績考課)の2本柱とし、
  それぞれの考課結果の反映先を異なるものとする(能力考課は等級の上昇へ。実務考  課は賞与へ)
11.基礎能力を細目単位で観る仕組みにより、好き嫌いだけで
   人物評価をしてしまう確率を減少させる
12.考課結果の集計を全社的な教育計画・採用計画の参考とする
13.管理職と未管理職の雇用の区分を設け、区分間の相互の出入りを可能とする
14.区分の中に等級は設けるが号俸制は用いず、その代わり等級を細かくする(多くする)
15.人事制度上の職位は部門に関係なく、
   1)部長クラス2)課長クラス3)現場リーダークラス
   4)実務最前線クラス、の4階層とする。
16.前項を前提に、組織外に対する職位の呼称(対外呼称)および
   組織内での指揮系統を明確にするための部門独自の呼称は、
   各部門の設定に任せる。
17.前項の1)2)3)の階層には、「予備役」という枠組みを作る
18.月給の構成要素を「給与ベース+年齢給+能力給+職務手当+諸手当」とするが、特に「給与ベース+年齢給」を尊重すsる。

列挙していくうちに、特徴と言うより、具体的な組み立て方法のレベルになってしまったのでこの辺りで止めて、さらに詳しくはパート2以降で紹介する。

いかがであろうか? いわゆるドラスティック(drastic) ※3人事制度が好きな人から見ると、変哲もないというか、オーソドックスというか、なんら変革のない制度のように思えるかもしれない。特に「給与ベース+年齢給」を尊重するとした点などは、いゆわる成果主義が好きな人には軟弱な制度に思えるかもしれない。

しかし、パート2以降をよく読んで頂ければ、ある面、非常に厳しい人事制度でもあることが理解頂けると思う。とはいえ、決して厳しさ一辺倒ではなく、目立つ業績をあげることができなかった人やいわゆる日陰の部署に所属する人でも、それなりに能力が認められ等級に反映される制度であることも理解して頂けると思う。

が、いずれにしても、チームワーク主義であるゆえ、チームワークの実現への貢献の度合いが低い人間には厳しくあたることになり、偏狭な競争を煽る可能性が大きい人事制度とは対極であることには違いない。

なお、ちなみに、世間一般で人事制度が語られる際、「公平公正な人事制度」という言い回しが筆頭に用いられることがあるが、私はこの言い回しを用いない。
なぜならば、公平であろうとする努力が過ぎると公正さを奪う可能性が出てくると私は思うのだが、それゆえ「公平公正」という形で二つの言葉を併せて使うのに抵抗感があるからだ。
もちろん、何事ごとも「機会は公平」に与えられなければならない、と私も思う。しかし、人事制度において特に考課、昇級(およびそれに伴う昇給)、賞与分配、役職・職制の任免等においては、公平に機会を与えた結果、各人が出した成果を評価するわけであり、成果に違いある限り、違いを明らかにするために厳しいまでの公正さが必要である。
つまり、少なくとも人事制度においては、公平さは過ぎると不都合を起こすが、公正さに関しては過ぎるという概念すら適用されない、と私は判断する。

それでは、次セクション以降、いよいよ具体的な方法論に入っていく。

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※1
裏を返せば、この努力義務を果たさない者は解雇するという意味である。

ただし、パート2セクション6「長期雇用フルタイム時給労働者の位置づけ」にて紹介する制度の枠組みを採用すれば、解雇をせず、引き続き会社で働いてもらうための受け皿は、一応できることになる。

※2
懲戒制度は、人事制度にとっての前提のみならず、組織運営全般にとっての制度である。懲戒制度が存在し、機能していなければ、組織運営は困難となる。

それにもかかわらず、ここであえて懲戒制度のことを取り上げたのは、考課の際に「懲らしめてやろう」と考える人を見かけるからである。たとえ或る人物が懲らしめる必要があるような言動を行なったとしても、それは発生時点で直ちに懲戒制度によって対処されるべきである。1年なり半年なり定期的にめぐてくる人事考課によって懲らしめるのではない。少なくともMM式チームワーク主義育成型人事制度においては、考課は、人材育成のサイクルのチェックポイントであって、懲戒の手段ではない。

※3
ドラスティック(drastic)を英和辞典で引くと、「強烈である」や「思い切った」といった意味が紹介されている。

経営を大幅刷新したい場合、とかくドラスティックな人事制度の導入の検討をするようだが、いったん人材育成主義に立ってしまうと、「強烈である」や「思い切った」やり方よりも、「継続は力なり」式や「うさぎと亀の競争」式に、着々とやる必要があると、私は思う。

 
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当コースの構成(目次)

<パート1・総論>
セクション1「当コースが適用される組織タイプ」
セクション2「当コースの人事制度の主義とは?」
セクション3「当人事制度の特徴」

<パート2・各論>
セクション1「人材育成のPDCAサイクルと考課の位置づけ」
セクション2「当人事制度の構造・フロー(骨格)」
セクション3「基礎能力開発基準を中心とした人材育成のフロー」
セクション4「仕事の構成と賞与までの流れ」
セクション5「管理職・未管理職の区分と等級」
セクション6「長期雇用フルタイム時給労働者の位置づけ」

<パート3・当人事制度の運営に必要なアイテム>
セクション1「人事制度に関連する用語の定義・解説書」
セクション2「基礎能力開発基準(一覧)」
セクション3「区分別・階層別・等級制度」
セクション4「昇級候補者選定基準」
セクション5「作業項目一覧表」(職務分掌マニュアルの一部)
セクション6「実務考課(業績考課)の判断基準」
セクション7「能力考課の判断基準」
セクション8「チャレンジシート」
セクション9「実務考課票」(業績考課票)
セクション10「能力考課票」
セクション11「能力細目チェックリスト」
セクション12「年齢給テーブル」(給与ベース+年齢給)
セクション13「能力給テーブル」
セクション14「職務手当テーブル」
セクション15「新人事制度概要解説パンフレット(全社員向け)」
セクション16「各種規定(規程)」
セクション17「管理職用・人事制度運営マニュアル
セクション18「チャレンジシート活用テキスト(全社員向け)」
セクション19「人事担当者用・人事制度運営マニュアル
セクション20「Q&Aシステム」

<パート4・その他>
セクション1「当人事制度の長所・短所」
セクション2「考課結果の通知」
セクション3「考課の不服申し立て制度」
セクション4「人事制度に関する管理職研修」
          (いわゆる考課者研修との違いについて)
セクション5「導入検討時に発生しがちな論議」
セクション6「制度移行に伴う不利益変更」
セクション7「賞与と報奨金制度」
セクション8「職位の対外呼称と部門独自の呼称」

パート5・用語の定義

パート6・Q&Aコーナー

■講師への質問メールinfo@free-web-college.com

●制作・著作:蒔苗昌彦(担当講師)

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