人事制度の構築と運営の方法」(MM式チームワーク主義育成型人事制度) フリーWebカレッジ


フリーWebカレッジ 組織運営学科 コース000070「人事制度の構築と運営・運用の方法」 担当講師:蒔苗昌彦


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<パート3>

●セクション12「年齢給テーブル」

当人事制度においては、その金額の決定にあたって、考課の結果が一切反映されない月給の要素として、「年齢給」を設定する。ただし、賞与算出の際の基礎額にはなり、その際には実務考課の結果が関係する。

年齢給」は常に「給与ベース」の額に上乗せした形にて、その額を表す。つまり、「給与ベース+年齢給」として額を表す。そして「年齢給テーブル」という名称の一表にして、組織内で公開する。

「給与ベース」は考課結果のみならず、その他個人的属性を一切反映させない。なぜならば、「給与ベース」とは、誰でも最低限もらえる共通額の月給要素とするからである。これは管理職・未管理職の区分も関係なく、共通とする。

一見、管理職と未管理職で、給与ベースを別にしてもよいかのようにも思えるが、両者の区分を往来できる制度であるため、その際に給与ベース額を変更するのでは煩雑になる。やはりシンプルであるほうがいい。

この給与ベースは、前にも述べたように、一般で使われる「ベア」(ベースアップ)で言うところの「ベース」と全く同じ意味だといいのだが、新聞記事等を観察していると、意味づけがバラついたり揺れたりしているように見えるので、一応独自の概念と受け止めて頂いていい。

インフレ・デフレ、または会社の経営状態等に応じてアップ・ダウンさせるのはこの「給与ベース」とする。その面でも、一般で使われる「ベア」(ベースアップ)で言うところの「ベース」と似ているように見えるかもしれない。しかし、いわゆる「ベア」においては、毎年流される春闘などの労使交渉に関するニュースからすれば、当コースで言うところの「給与ベース」以外の賃金要素もひっくるめて、その標準額を引き上げる行為をベアと呼んでいるケースがある。そうならば、いわゆる「ベア」の「べ」と、当コースで言うところの「給与ベース」は、やはりコンセプトが異なる。

いずれにしても、インフレ・デフレ、または会社の経営状態等に応じてアップ・ダウンさせるべき月給要素(給与ベース)が、年齢や能力などの個人的属性に関係する月給要素の、個人間差異の率に影響を与える方法は、給与構造が複雑になってしまうので避けたい。

年齢給」は、概念の上では一般で言われるのと同じだと思う。年齢に応じて設定され、上昇を停止(いわゆる頭打ちに)する年齢まで、毎年上昇していく月給要素である。

もちろんのこと「会社の体力が続くならば・・・」との大前提となるが、当人事制度が対象とするタイプの組織においては、「年齢給」は設定すべきだと私は思う。

本人が思っているほど良い能力考課を受けられない場合でも、1年経てば少なくとも年齢給は必ず上がると分かっていれば、踏ん張りようもあろう。

また、年齢が高くなれば、結婚して家庭を持ったり、子供を進学させたり等々それなりに私生活の上での費用がかさんでくる。その点も配慮してあげるべきだと私は思う。社員・職員への思いやりという面でもそうだが、未婚者の増加や少子化という社会問題の解決のためにもそうである。いくら政治家や官公庁が声を大にしても、国民各人を雇用している組織が「年齢給」にて対応していなければ、問題は解決しないまま、ますます未婚者の増加や少子化が進むだろう。

「成果主義」という言葉が大変流行した頃においては、時代遅れとさえ言う人まで登場した「年齢給」である。撤廃した企業も相次いだ。しかし、私は年齢給に賛成、年齢給を肯定する。それどころか、21世紀の国家的問題を見据えれば、むしろ最先端の人事策と思う。

「一企業には国家的問題は関係ない」とつっぱねる人もいるかもしれないが、少子化問題が悪化の一途となれば、国民全体の消費力は落ちるわ・労働力は落ちるわ、ますます外国人労働者に依存せざるをえないわ等々、企業経営にも大いに影響が出てくる。したがって、「年齢給」は、一企業においてさえ長期人事戦略として位置づけられてもおかしくないほどだ。体力がない企業は倒産したら元も子もないのでさておき、体力がある企業で、かつ、当人事制度が対象とするタイプの組織は、ぜひ「年齢給」を肯定・賛成し、率先垂範して頂きたいと思う。

ともあれ、何度も繰り返してきたように、当人事制度は月給構成要素の中では特に「給与ベース+年齢給」を尊重する。

が、ただし、「いわゆる正社員・正職員は全員が、管理職・監督者、もしくはその予備役もしくはその候補者、もしくはいずれそうなるよう努力義務がある者として雇用すること」が大前提であることには変わりなく、義務を果たさなかった人・怠った人は、「給与ベース+年齢給」を尊重した制度の恩恵を受けることができなくなる。

古いタイプのいわゆる年功序列制度では、年を取っていきさえすれば努力しなくても給料は上がるといった「甘え」を発生させた、と私は解釈している。この私の解釈が妥当だとして、「本来、この甘えはどの段階で予防すべきのか?」との問いがあればそれに対し、「雇用契約をする段階で予防すべき」と、当人事制度において私は答える。

「それでも甘えが発生した場合には、どう対処するのか?」との問いに対しては、「雇用契約違反を理由に解雇(もしくは長期雇用フルタイム時給労働者への区分変更)にて対処する」と、当人事制度は答える。こうして残った正しき人たちが、「給与ベース+年齢給」を尊重した制度の恩恵を受けるのは、なんら問題ないと思う次第である。

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●制作・著作:蒔苗昌彦(担当講師)

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