「社会人に必要な数のセンス」経営数学講座-04フリーWebカレッジ


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■「期待値という概念を正しく知るための数のセンス」経営数学講座-04

【問題】

 賭博が合法化されているある国で、決まった金額を入れることで得られる籤(くじ)がある。その籤は、000から999まで、どの数字も同じ確率ででたらめに出現するようになっており、以下の規則で賞金がもらえる。

・一の桁が0か5なら、ほかの桁に関係なく10万バイン
・一の桁が0でも5でもなく、しかも十の桁が8なら、5万バイン
・それ以外なら、賞金はなし
                        ※バインはその国の通貨単位

 この籤を一回引く金額をいくらにしたら、長い目で見て損得がないといえるか。ただし籤をひくこと自体の楽しさや、賞金以外のコストなどは考えないものとする。

(1)2万2千バイン (2)2万4千バイン (3)2万5千バイン

 

(2)を選んだ人:確信を持った計算で2万4千バインとわかるなら、期待値の基本は理解できている。ただし参考までに、基本解説を読んでほしい。

 それ以外を選んだ人:期待値の基本を理解するため、基本解説を読んでほしい。

 

【基本解説】

 期待値。ビジネスを考える上で、まずは大ざっぱに参考にすべき指標である。丁半が同じ程度起こりうる丁半賭博で、丁が出たら1万バイン貰えるが、半が出たら1万バイン支払わなければならないとしたら、実際に手を出すかどうかは別として、一応公平な勝負だとはいえるだろう。これは期待値としてはゼロということだ。

 では丁が出たら1万バイン貰えるが、半が出たら何もなし、という条件ならどうだろう。この場合の期待値は、感覚的に5千バインとわかるのではないだろうか。もちろん無条件でそんな賭博をさせてもらえるわけはない。しかし、たとえば、あるデパートで10万バインの買い物に対してこういう賭博を一回させてもらえるというのであれば、大体5パーセント程度の割引に相当するとわかる。実際には丁が出れば10パーセント、半が出たら割引なしということだが、それはやってみるまでわからないから、5パーセント程度の割引ということだ。

 以上、感覚的な議論を先に出してしまったが、期待値というのは、あらゆる可能性に対して、それが起こりうる確率と、それが起こった時の収支とを掛け合わせ、全体を足したものとなる。ここまでに出した例に関していうと、次のようなことだ。

・丁が出たら1万バイン貰えるが、半が出たら1万バイン支払う
   0.5×1万 + 0.5×(-1万)=0
       ※マイナスというのは、こちらから支払うことを意味する。

・丁が出たら1万バイン貰えるが、半が出たら何もなし
   0.5×1万 + 0.5×0=5000

 

 それでは、問題の場合はどうなるだろう。000から999まで、すべての数が同じ確率ででたらめに出現するのだから、最初の条件(一の桁が0か5)が満たされる確率は、2/10すなわち0.2である。一方、2番目の条件が満たされる確率は、少し難しい。「一の桁が0でも5でもない」という条件と、「十の桁が8である」という条件の、両方が満たされなければならない。一の桁と十の桁というのは、片方がいくつだからもう片方はどうなりやすい、という性質のものではない。これを「独立である」という。

 独立な場合、両方が満たされる確率は、それぞれが満たされる確率の積となる。「一の桁が0でも5でもない」確率は0.8であり、「十の桁が8である」確率は0.1である。つまり「一の桁が0でも5でもなく、しかも十の桁が8である」確率は0.1×0.8すなわち0.08となる。

 従って期待値は、0.2×10万 + 0.08×5万 + (それ以外の確率)×0であり、つまり2万 + 4千 + 0 すなわち2万4千ということになる。

 

【発展解説】

 少し変えて次のようにしたらどうなるだろう。

・一の桁が0か5なら、ほかの桁に関係なく10万バイン。
 これは十の桁が8の時でもそれ以外に貰える。

・十の桁が8なら、ほかの桁に関係なく5万バイン。
 これは一の桁が0か5の時でもそれ以外に貰える。

・それ以外の賞金はなし。

 もう少しかみくだいていうと、次のようなことだ。

・一の桁が0か5で、しかも十の桁が8なら、合わせて15万バインもら
 える。

・一の桁が0か5で、しかも十の桁が8以外なら、10万バインもらえる。

・一の桁が0でも5でもなく、しかも十の桁が8なら、5万バインもらえる。

・一の桁が0でも5でもなく、しかも十の桁が8以外なら、何ももらえない。

 この4つの場合のうち、一番目のことが起こる確率は、0.2×0.1すなわち0.02である。二番目のことが起こる確率は、0.2×0.9すなわち0.18である。三番目のことが起こる確率は、0.8×0.1すなわち0.08である。四番目のことが起こる確率は、0.8×0.9すなわち0.72である。

 従って期待値は、

 0.02×15万 + 0.18×10万 + 0.08×5万 + 0.72×0 

 であり、計算すると2万5千となる。

 

 しかし、実は、この2万5千という結果はもっと簡単に求められる。一の桁が0か5なら、ほかの桁に関係なく10万バインが貰える。これに関する期待値は、0.2×10万で、2万となる。一方、十の桁が8なら、ほかの桁に関係なく5万バイン貰える。これに関する期待値は、0.1×5万で、5千となる。両者は、お互いの可能性をムダにしないのだから、全体の期待値は、この2万と5千とを単純に足せばよい。すなわち2万5千である。

 一般に、複数の特典(損失も含む)があり、ある特典を得たからといってほかの特典が無効になるといったことがないなら、全体の期待値は、各特典の期待値を、単純に加えればよいということになる。従って、以下のような一見複雑な場合でも、重複して貰える(どれかが満たされたからといってほかの条件が無効にはならない)なら、期待値はそれほど難しくない。

・一の桁が0か5なら、ほかの桁に関係なく10万バイン。

・十の桁が8なら、ほかの桁に関係なく5万バイン。

・百の桁が奇数なら、ほかの桁に関係なく8千バイン。

 この場合、一の桁に関する期待値は0.2×10万で2万、十の桁に関する期待値は0.1×5万で5千、百の桁に関する期待値は0.5×8千で4千、すなわち全体の期待値は2万9千である。

<次のコースへ続く>

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2006年11月19日更新
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