四十三、最後の夢
「悔いよ、改めよ! 高泉」
どしーん!
「わかった、わかった」
どしーん!
「わかったと言ってるだろ。さっさと引っ込んでくれ。とにかく眠たいんだ」
どしーん! どしーん!
「わかっておらん。インチキの数々、それが証拠だあーっ!」
「インチキだとう? けっ! ペテン師だったおまえに言われる筋合いじゃない」
「だからわしは反省した。我が身を燃やした」
「けっ! くたばっちまったら、そもそも反省した意味がないじゃないか」
「なにい!」どしーん!
「反省するのは、改善した上で、さらに生きていこうとするためだろ?」
「うっ!」
「裏をかえしゃあ、生きていくなら、反省と改善を繰り返せと言うことよ。おっと。これじゃ研修講師の高橋さんの受け売りみたいだな。ま、さらにもう一度裏返せば、反省と改善がなけりゃあ、死んだも同然。生きる屍ということよ。おっと。これもまた高橋さんの受け売りみたいだな。どうも、影響は魚釣りだけじゃないようだ」
「なにをぶつくさ言っておる! さっさと灰になってしえーっ!」ぶおーっ!
「はいはい。燃えましたよ、灰になりましたよ。でも、今回も熱くなかったなあ。火の始末を確実にやる癖がついてきたせいかしらん・・・」
フェードアウト。フェードイン。
青空。陽光。透明な雲。低い山脈。草原。そよ風。菩提樹。そして蓮池。
「うっ、うっ、うっ」
「また泣いておられる。ほら、この美しい大自然。心を安らげなさい」
「はい、高泉さま」女は立ちあがり涙をぬぐわず微笑んだ。
「それにしても、よほどの悲しみ。どうしてなのかね?」
「はい、高泉さま。あれをご覧ください」女は再びしゃがみ、池の底を示した。
「おやま、地上の様子がひと目で観える」
「はい、高泉さま。あのようなところにいても、人は生きていかなればならない・・・」
「だから悲しいというのだね。分かりましたよ、お嬢さん。ならばなおさら、ご覧なさい、この大自然を」
「はい、高泉さま。高泉さま、高泉さまあー・・・」
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