Q&A「人事制度の主義」について FAQ

■ 人事制度の主義について

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Q1:当コースが解説する人事制度の主義がチームワーク主義、人材育成主義だということは、すなわち、他の主義を否定するということか?

A1:いいえ。当人事制度が対象とする組織タイプにとっては、チームワーク主義と人材育成主義が適切であるという判断をしているだけのこと。他の組織タイプにとっては、むしろ別の主義のほうが適切な場合があるはず。

Q2:つまり、組織タイプごとに主義を定めるべき、ということか?

A2:はい。もっと正確に言えば、組織タイプごとではなく、個々の組織ごとに主義を定めるべき。

Q3:主義を定めるのは誰か?

A3:その組織の運営について最高の責任を持つ者(最高責任者)、もしくは、最高責任者からその組織の人事について委任を受けた者(人事責任者)。

Q4:オーナー社長はさておき、最高責任者が数年ごとに交代してしまうケースもあるが、そうした場合、改めて主義を見直したうえ変更すべし、ということか?

A4:新しい最高責任者が「変更したほうが組織の将来のためだ」と判断したのであれば、その責任において変更して構わないと私は思う。

Q5:では、実際に最高責任者が数年ごとに交代した場合、たびたび主義を変更することになってもよし、という意味か?

A5:新しい最高責任者の判断が適切である限り、たびたびの主義変更も、やむをえない。

Q6:「やむをえない」との回答ということは、たびたびの主義変更は不本意という意味か?

A6:はい。不本意である。なぜならば、人事制度に限らず、そもそも「主義」というものは、たびたび変更すべきものではないからだ。

Q7:では、主義をたびたび変更しなくて済むためにはどうしたらよいか?

A7:その組織の将来をしっかり見据え、「長期にわたり効果をもたらすであろう」と確信できる主義を定めることである。そして、その主義を後任者が理解できるように、文書を書き残すことである。

Q8:「長期にわたり効果をもたらすであろう」と確信できる主義を定める際の、注意点は?

A8:その注意点は次の通り。

1)マスコミ等で話題になっている等、その時々、世間で流行しているような主義に惑わされないこと。

2)人事担当者の好き嫌いや、専門的なこだわり等は、脇に置いて検討すること。

3)その組織固有の現在の課題、近々発生すると予想される課題、将来発生すると予想される課題、いずれとも矛盾せず、かつ なるべくいずれにも適用できる主義を定めること。

Q9:前記の注意点を守ることができる主義とは、つまり、「普遍的な主義」ということか?

A9:「普遍的な主義」という言葉の意味次第だが、あらゆる組織に適用できる主義という意味ならば、それは否定する。或る特定の組織にとって長期に適用できるという意味ならば、肯定する。ちなみに、前者否定の理由は、前述のように「主義」とは個々の組織ごとに定めるべきものだからだ。

Q10:或る組織が自分の組織のことだけを考えて定めた「主義」が、他の組織が定めた主義と、一致するということはあり得るか?

A10:はい。あり得る。

Q11:一致する確率は?

A11:確率を具体的な数値で表すことは私にはできないが、かなり高いと言える。なぜならば、主義について誰もが真剣に考え抜いた場合、その結果浮上する主義の種類はやたらと多くはならないはずだからだ。

Q12:たとえば、具体的にどのような主義が浮上し得るか?

A12:たとえば、私が考える限り、チームワーク主義と人材育成主義の他には、次の通り。なお、これは当コースが対象とする組織タイプとは異なるタイプの組織を想定した場合の主義であるので、誤解なきよう。

1)完全成果主義:
法令遵守を大前提に、組織が求める成果さえ上げれば、勤務時間・勤務形態・勤務場所等々の拘束すら行わない、責任と自由が一体化した主義。

2)完全ノルマ主義:
組織が与えたノルマを達成することを唯一の義務とした主義。

3)家族主義:
組織構成員が皆あたかも仲の良い家族のようにして助け合う組織風土の実現を目指す主義。

4)合理主義:
人情的な考えよりも論理的な判断を尊重し、いわばドライな人間関係を前提に、各人が仕事に集中できる環境の実現を目指す主義。

Q13:前述に「完全成果主義」や「完全ノルマ主義」という言葉があるが、その裏には「不完全成果主義」や「不完全ノルマ主義」という考え方があるのか?

A13:はい。

Q14:その考え方には、「成果主義」や「ノルマ主義」が不完全であってはならないという意味があるのか? つまり、「不完全」という言葉に、悪い意味があるのか?

A14:いいえ。悪い意味はない。この場合、単に、物事の状態として「不完全」であると言っているだけで、「不完全」イコール「悪い」という意味ではない。

Q15:ということは、「不完全成果主義」や「不完全ノルマ主義」を認めるということか?

A15:その主義が、その主義を適用しようとする組織に適している場合には、認める。適していない場合には、認めない。なお、この判断の仕方は何も「不完全成果主義」や「不完全ノルマ主義」に限らず、他の主義に関しても同じである。要は、それぞれの組織ごとに検討し、それぞれの組織ごとに定めるべきものが主義なのだ。組織を特定せずに、無条件で主義の善し悪しを語ることは不可能である。

Q16:では、当コースが言うチームワーク主義と人材育成主義は、どのような組織に適するのか?

A16:現実に存在する或る一つの組織までは特定していないが、或る程度範囲を絞った「組織タイプ」は特定してあり、その「組織タイプ」を対象に、チームワーク主義と人材育成主義が適すると判断して当コースを展開している。その「組織タイプ」は、当コースのパート1セクション1「当コースが適用される組織タイプ」に詳しく記載してあるので、そちらをご参照下さい。

「主義」という言葉の定義は・・・
こちらをクリックした先の「用語定義のページ」に記載されています。


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