■ 正社員(正職員)
当コースの本文をお読み頂き、すでにご承知の通り、当コースでは、正社員(または正職員)という言葉には、いちいち「いわゆる」という言葉を付けている。
なぜならば、当人事制度において正社員・正職員という言葉に対して、正式に定義を与えるつもりがないからだ。
こう言うと、「では、別の適切な言葉を当てはめたら良いではないか?」との意見が発生するだろう。しかし、残念ながら正社員という言葉の代わりになる言葉は、今のところみつかっていない。たとえみつかったにしても、もしくは新しく創ったとしても、正社員という言葉があまりにも浸透しているため、別の言葉へのパラダイム変換は、少なくとも当面は、到底不可能だろう。だから、妥協策として「いゆわる正社員(正職員)」という言い回しを、当コースでは用いている次第である。
なぜ、当人事制度において正社員・正職員という言葉に対して、正式な定義を与えるつもりがないのか?
その理由は、大前提として、参考図「雇用区分・拡大版」に記載される全ての人が、そもそも「社員(職員)」であること。そこに、「正」という概念を加えた区分を設けるならば、「非・正(つまり正ではない)」という概念が浮上してしまうこと。しかし、特にユーザー・消費者・お客様の観点からすれば、「あの社員は正だが、その社員は正ではない」と言われても困ってしまう。正であろうとなかろうと、全員がその組織の構成員としての自覚と責任感を持って、仕事をして欲しい。それゆえ、「正」と「非・正(正ではない)」という使い分けは好ましくない。
こう言うと、正社員という言葉の揚げ足を取っているように思う人も出てくるだろうが、たとえ揚げ足を取ろうとも指摘しておかないと、、、
「正」すなわち「正規」
↓
「正規がある以上、非正規という概念も成り立ち得る」
↓
「したがって、正社員でない社員は、皆、非正規社員である」
といったような理屈へと発展してしまう。
もっとも、私がこうやって心配するまでもなく、「非正規社員」(非正規職員)という言葉は既にかなり出回ってしまっているのだが、特にユーザー・消費者・お客様の安全衛生に関わる仕事に従事する人の中に「非正規社員」がいると言うことが可能な理屈が展開している状態は実に不安だ。
したがって、要は、直接雇用の人は皆、正規の社員として位置づけるべきなのである。
ただし、右上の参考図「雇用区分・拡大版」にて示すように、労使の関係上、使用者側と労働者側という区分は厳然としてある。が、正規・非正規という区分は本来あってはならないのである。
いわゆる正社員・正職員は、いずれは消え去るべき社会通念との考え方」を私は推進するが、ともかくあまりにも浸透しているので、残念ながら当面はこの言葉で妥協せざるを得ない。
なお、当人事制度は、原則、いわゆる正社員・正職員のための人事制度である。