■ 終身雇用
当人事制度では、一般で言うところのいわゆる「終身雇用」と同じ意味として用いる。特別な意味づけはしない。
が、当人事制度はいわゆる正社員・正職員を対象とし「終身雇用」を前提として組み立ててあり、言葉こそ一般語だが「終身雇用」という理念は制度の随所に影響している。
奴隷制度等のように終身拘束される労働形態に対する深い反省から、近代の労働法では労働者側に自らの意思で退職できる権利を与えているが、それにもかかわらず雇用者側が定年までの雇用を保障してあげようという理念は、人類史的観点からすればユニークかつ大変進歩的である。
バブル経済崩壊後、あたかも時代遅れの理念かのように扱われてしまうケースも見られたが、それは早とちりだ。理念が間違っていたからではなく、制度上の具体的な仕組みが理念を実現できるように作られていなかっただけのことなのに、それに気づかず、早とちりしてしまったのであろう。慌てずに仕組みを改善すれば、理念を捨てずに済んだのに、残念なことである。
これに対し、当人事制度は、「終身雇用」を前提とするため、この理念を実現できる仕組みとなっている。特にそれは、月給の一要素で賞与の算定基礎ともなる「給与ベース」の上げ下げ(ベースアップ・ベースダウン)において顕著である。
ただし、総人件費以外の問題により経営破綻してしまっては、「終身雇用」どころか一時雇用であっても不可能となることは言うまでもない。