セクション3

■セクション3「キャリアデザイン研修変化の背景-2 「個人の意識の変化」」

人事体系のベースが成果主義であり、終身雇用を保障できない以上、会社からの要求が「従業員一人ひとりが自律・自立すること」となるのは自然な成り行きとも言える。
現在20代の従業員は「成果主義導入後に入社した世代」で、成果主義も自律・自立も当たり前と感じている一方、現在50代の従業員は年功序列世代であり、成果主義にとまどいを隠せない。今さら自律・自立と言われても・・・と困惑している。

中高年齢者に話を絞ると、技術革新の早さや業務上のIT活用で置いてきぼりになる中高年齢者が存在する。 仕事の進め方も技術革新によってこの先さらに変わる可能性もある。 集合教育といった従来の教育方法だけでは技術革新への対応が困難であるにもかかわらず、働き続けるための・エンプロイアビリティを向上させるための能力開発が要求されている。

55歳役職定年後にしても、60歳まで過不足なく過ごしてソフトランディングではなく、さらに10年間、一がんばりも二がんばりも期待されるようになってきた。
技術革新に対応するには? エンプロイアビリティを向上させるには? 55歳からの必要とされる能力とは?

中高年齢者にすれば、「どうやって能力開発をやっていくか」という、考えてみれば誰にとっても基本的な課題さえ、重圧となりかねない。
また、定年が延長になったとはいえ全員が継続雇用されるとは限らないにもかかわらず、人生は80年時代だ。 65歳で定年を迎えたとしても、そこから先がまだまだ長い。 つまり、可能な限り早い段階での準備が、一個人にとっては必須になってきているのだ。

このような社会環境・雇用・人事施策の変化を目の当たりにした従業員からすれば、「自分の身は自分で守らねばならない」といういわば危機意識が促進され、自らのキャリア開発への努力が向上したのは当然とも言えよう。
20代従業員は成果主義・非終身雇用が普通と思っている世代であり、自らキャリア開発を考えることも自然と受けとめている。
30代40代は、ここ10年で先輩社員のリストラを目の当たりにし、自らのキャリア開発の必要性を真剣に感じた世代である。

50代はリストラを生き残ってきたとはいえ傷ついている世代。仕事定年、人生定年も見据えながら、環境変化にどう対処していくかを考えている。
どの世代においても、一個人にすれば、仕事だけではなく自分の生き方や暮らし方まで含め、「キャリア」「人生」をも視野に入れて考え直さざるを得ない状況となったのである。

講師:飯島康仁( 株式会社JMAMチェンジコンサルティング アクティブ・キャリアプラン推進室)


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