セクション4

■セクション4「次世代キャリアデザイン研修の主な目的」

キャリアデザイン研修の目的1.「気づきを得る」
キャリアデザイン研修を行う最大の狙いは、「研修で得たものを研修後に活かす。行動に移す。一歩前に踏み出す。こういう意識に切り替わること」である。
そのためには、「スキルの棚卸しをした」「目標シートに記入したかどうか」ではなく、「参加者がその後の行動につながる“気づき”を得られたかどうか」が大変に重要になる。

心からの気づきがなければ、研修は一過性のもので終わるであろう。
心からの気づきを得れば、考え・行動・習慣が変わるだろう。
そして、考え・行動・習慣が変われば、その後の人生も変わっていくのである。

キャリアデザイン研修の目的2.「エンプロイアビリティ向上のきっかけ(キャリア・バリュー・アップ)」
エンプロイアビリティを向上させるために必要な能力を、ここでは「キャリア・バリュー」と呼ぶことにする。キャリア・バリューの高い従業員が多くいればいるほど優秀な社員が多く、業績向上に結びつくことにもなる。
キャリア・バリューの具体例とは何かは従業員によって異なるが、共通するポイントは「労働市場の変化、および企業ニーズの変化に対応(マッチング)できる能力」だ。
キャリアデザイン研修では、主に「外的キャリアの把握」を通じて、各人が保有するキャリア・バリューと、身につけるべきキャリア・バリューを把握していく。
心からの気づきを得て、明確にしたキャリア・バリューを虚心坦懐に受けとめることで、バリューアップ=エンプロイアビリティ向上のための行動に踏み出すことが可能となる。

キャリアデザイン研修の目的3.「リテンション」( 優秀な社員の社外流出防止 )
キャリアデザイン研修を行う・行おうとする企業でしばしば生じる疑念が、
「気づきがあって、保有能力を明確になどしたら、優秀な従業員は
出て行ってしまうのではないか?」といった疑念だ。
しかし、従業員の立場から見ればどうであろうか。
a.従業員のキャリアを重要なことと捉え、さまざまな施策を用意してくれる会社
b.従業員のキャリアは無用と捉え、何も行わない会社

aとbのどちらが従業員にとって魅力的な会社であるかは明らかだ。
自分のエンプロイアビリティが高まれば、当然、現在勤めている会社に継続的に雇用される可能性も非常に高まる。自分の雇用状態が安定することになるため、高いレベルでのワーク・ライフバランスが実現できる。
その結果、さらに仕事生活・個人生活も充実することにつながっていくという好循環となる。
このような従業員は、あえて社外に出ずに、自社内でキャリア形成をしていくであろう。

つまり、キャリアデザイン研修は、従業員のリテンションにつながるのである。
特に、若い社員にとって、キャリアパスが示され、キャリアデザイン研修によって自らを振り返る機会があることは、リテンションのための大きな要因になるであろう。
従業員が生涯現役への確かなパスポートを得ることへの会社のバックアップが求められており、このことが、会社に対するロイヤルティの再確立につながっていくのだ。

講師:飯島康仁( 株式会社JMAMチェンジコンサルティング アクティブ・キャリアプラン推進室)


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