■セクション4「『安全管理』と『危機管理』の役割分担」
当コースは組織運営学科のコースなので、一つの組織内の役割分担の観点からも、「安全管理」と「危機管理」を見る必要性がある。
私が代表取締役に就いている小さな会社のように実態は自営業にも近い会社は別として、ある程度以上大きな組織においては、
「安全管理」と「危機管理」のそれぞれに、専門の担当部署・担当職務があるとしても自然である。
つまり、安全管理を担当する部署・職務が、「c.純・危機管理」までは行わない状態、
および、
危機管理を担当する部署・職務が、「a.純・安全管理」までは行わない状態、があっても自然である。
しかし、これは、「安全管理」と「危機管理」を、一つの部署(または職務)が兼務しすることを禁ず、という意味ではない。場合によっては、兼務しても構わない。場合によっては、兼務せざるをえない。※1
いや、管理対象の特性によっては、むしろ兼務したほうが円滑に管理ができる場合もある。
では、兼務したほうが良い場合、それぞれ専門の担当をしたほうが良い場合とは、どのような場合なのか?
実は、これは、たとえ一つの組織の中であっても、「安全管理」や「危機管理」をする対象次第である。つまり、何について安全管理をするのか、何について危機管理をするのか、管理対象を具体的に特定して初めて、兼務すべきか否かを決めることができる。さらには、管理対象次第では、安全管理や危機管理の専門部署・専門職務でなくても、安全管理や危機管理をしなければならない。
ついては、次のセクションにて、「安全管理」と「危機管理」の対象について考えてみよう。
※1:
さらに重要なことなのだが、兼務にせよ、専門にせよ、部署名称・職務名称に、一々「安全管理担当」や「危機管理担当」という言葉がつかない場合がある。それどころか、作業名称にすら、安全管理や危機管理という言葉がつかない場合がある。なぜならば、安全管理や危機管理という行為は、大なり小なり、組織内の様々な役割分担・作業の中に、不均一に分散しているのである。
が、とりあえず、当セクションの段階では、話を進めやすくするため、暫定的に、「安全管理を担当する部署・職務」「危機管理を担当する部署・職務」という限定的な言い回しをする。