セクション2

■セクション2「共通マニュアルのたとえ」

共通マニュアルには、たとえば、次のようなマニュアルが該当する。

1.苦情応対マニュアル

お客様や消費者からの苦情を受けた時、社員・職員が統一的な応対すべき点について、手順を示すもの。タイプAにあたる。
なお、同じ苦情応対マニュアルであっても、苦情応対専門の職務のために作成されたマニュアルは、職務分掌マニュアルに該当し、共通マニュアルには該当しない。

2.集客施設火災対応マニュアル

集客施設運営が専業の会社ならば、全社員・全職員の共通マニュアルとして。集客施設運営が専業の事業部や部署ならば、その事業部や部署の社員・職員全員の共通マニュアルとして。いざ火事が発生した際に、どのようにしてお客様に害が及ばないよう対応するか、その手順を記載したもの。
(※火災対応については手順書の事例をコース000032に紹介してあります。)
前者は共通マニュアルのタイプA、後者は共通マニュアルのタイプBにあたる。

3.人事制度運用マニュアル・管理職用

部下を持つ管理職が、部下の役割設定・目標設定・日常指導・人事考課、そして人事部への報告をどのようにするのか記したマニュアル。「評価者マニュアル」「人事考課マニュアル」とも呼ばれる場合があるが、役割設定・目標設定・日常指導の義務を果たしてこそ人事考課権が発生するとの考えからすると、こうした名称は適切ではないので、「人事制度運用マニュアル・管理職用」と呼ぶ。共通マニュアルのタイプCにあたる。
なお、同じ人事制度運用マニュアルであっても、人事部門の人事制度担当職務のために作成されたマニュアルは、職務分掌マニュアルに該当し、共通マニュアルには該当しない。

4.調理者用衛生管理マニュアル

大規模なホテルやホテルチェーン等で自社直営のレストラン・宴会場が多数ある場合や、大規模な調理食製造業で工場も複数あるような場合等において、調理に従事する者が調理物の種類に関係なく共通して守るべき衛生について記したもの。タイプDに該当する。

5.旅客航空機操縦マニュアル

旅客航空機の種別に、それを操縦する機長や副操縦士のために貸与されるマニュアル。タイプEにあたる。もちろん、新機種の開発段階では、テストパイロット用としても貸与されるであろう。
なお、旅客航空機の機長の作業は、航空機を操縦することだけではない。それ以外にも、作業はある。そうした諸々の作業は、職務分掌マニュアルにすべて記載されていることが前提となる。


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